アニメ・ゲーム・映画・小説・海外ドラマ、ツイッターとピクシブ、年に何度かあるコミケやインテ。大阪日本橋でんでんタウンを歩き回り、オタクショップが増えた新京極通に時代の流れを感じ、池袋の店をはしごして、観光客が増え観光地になった秋葉原をプラプラ…
オタクにとって日本は本当に最高の国です。この国に生まれて本当に良かった~!一生ここでこのままオタクとしての人生を送るんや~!…と思っておりました。
留学や海外旅行が昔ほど仰々しいものじゃなくなった令和。
でも「留学」というと社交的で国際交流などに興味があって積極的でアクティヴ…などいわゆるリア充や陽キャの人がするもの、というイメージは未だにあるのではないでしょうか。
陰キャにとって海外へのハードルの前に立ちはだかる「リア充の人々がするもの」という壁。
芸大に通いつつオタク活動に精を出し非社交的、ついでに日本大好きな自分がまさか海外に住む日が来るとは思っていませんでしたが人生何が起こるか本当にわかりません。
映画から知ったカルチャーを追いかけての留学
20歳の時にトッド・ヘインズ監督作品「ベルベット・ゴールドマイン」からモッズ・カルチャーおよびスウィンギング・ロンドン・カルチャーにダダハマりしました。
好き嫌いがめちゃくちゃ別れる映画。
しかし日本にいながら50年以上も前にイギリスで起こったムーブメントの情報を追うのはネットや本でが主になります。
本屋ではもう売られていないモッズ関連の書籍をオークションで買いあさり、ウェブサイトも探し回る毎日、段々情報を得るのも限界を感じるようになってきます。頭でっかちなオタクにとって知識の吸収が出来ないのはかなりストレスです。
当たり前ですがモッズ・カルチャーが起こったイギリスでは今でも多くのモッズに関する書籍が発行されておりamazonなどで買い寄せていましたが、英語が満足にわからないので電子辞書とグーグル翻訳を使って読んでいました。
読んでいても内容よりも「英語難しいなあ」という気持ちが先行し、40~60%くらいしか理解できないのに憤りを感じていました。
需要量を考えると読みたい本達が翻訳されるのは絶望的です、情報は手の中にあるのに言語の問題で満足に内容を理解できない…モノクロの写真とともにギッシリ並ぶ英語での情報をどうやったら得る事が出来るだろう、と考えたときに思いついたのが留学でした。イギリスにけばまだ残っているモッズ・カルチャーに触れる事も出来るのでは…という気持ちもありました。
今考えても非常に短絡的な理由での留学だったと思いますが…結局自分のオタク気質が起因し、映画から知ったカルチャーを追いかけての留学でした。
留学を決めてから、ダラダラと続けていた英語の参考書を使った独学(これは目的もなくやっていた…今考えたら何のために英語を勉強していたんだろう)にはっきりとした目標が出来、父親が英語堪能でアメリカに住んだ経験もあったため積極的にサポートしてくれたのもあって1年後には留学する事が出来ました。
語学習得への情熱が冷めることも危惧し、語学学校のあと現地大学のショートコースでデザインも学ぶ事にしました。
ヘタリアの影響で留学やワーホリした友人も
余談ですが私の友人の何人かは「Axis powers ヘタリア」のキャラクターが好きで、その好きなキャラクター(国)へ留学やワーホリへ行きました。私の世代はこのヘタリアの影響で留学・海外旅行や語学を学びだした人結構多いかもしれません。
プロイセン推しの友人とベルリンで待ち合わせ遊び回った時は、友人はヘタリアの人形をもって記念撮影しまくり、私は「舞姫」の聖地巡礼に大興奮し非常に楽しい時間を過ごしました。
そして「オタクってどこに住んでもずっとオタクだよなあ…」とご飯を食べながらしみじみ。
ヘタリアを読んでイギリスについては「聞きしに勝るとんでもねえ国だな!」と思っていたので、留学を決めた時はうっすらと「ヘタリアのイギリスみたいなのばっかりだったらどうしよう…」と思っていました(笑)
実際住むとヘタリアのイギリスは上手いこと擬人化されてるなあと感じる事も多々あります。
日丸屋秀和さんによる国擬人化漫画。
人によって海外に興味を持つキッカケはそれぞれですが、ヘタリアを通して海外にいきその国の言葉を話せるようになったり、留学/移住したり、その国に関する仕事に就いた友人たちを見ると、サブカルによる原動力ってすごいと改めて思います。
下心は英語習得の意欲につながる
私は日本語ですら人と関わることにあまり重きをおいていない生活をしていたので、外国人と話したいとか文化交流したいとかも思わなければ国際化が叫ばれる世において全く海外に興味がありませんでした。
しかし英語さえ出来れば読みたい本を読むことが出来、もしモッズと遭遇した場合話しかける事が可能である、という事が英語習得のモチベーションでした。英語はモッズの事を知るツールとして習得し、滞在をロンドンにしたのはモッズが生まれた街だからという理由でした。
言語学や英語自体に魅力を感じている人は別ですが、「言語を学ぶ」ことが目的なのではなくその先に「言語を使って何をしたいか」があるとモチベーションが持続されやすいと思います。あと何か嫌な経験があってもイギリスを嫌いにならないのは、根本に「でもモッズの国だしなあ」という気持ちが今もあるからだと思います。もはや宗教。
それに+αで、留学時代に様々国の人たちと話すことが意外に面白かった事、イギリスに住む日本人が日本では絶対知り合わないような経歴や職業の人達だったのでとても新鮮で、英語学習を通して人と交流することに抵抗がかなり少なくなりました。
限られた時間のなかでモッズカルチャーを知るために、イギリス人の生活や風習を出来る限り把握したかったのもあって、イギリス人コミュニティに滑り込んだり今考えたら全然喋れなかったのによくやったよな、ということもモッズへの下心で感覚が麻痺していたからかと思います。
初イギリス…ヒースロー空港に到着して現実を知る。英語わからん!
いよいよ留学に旅立つ日、関空⇔ロンドンを直行で結ぶ飛行機にのって12時間の旅です。
韓国に一度行ったことあるものの、初長距離飛行・初ヨーロッパ・初長期滞在!
不安よりも「あと12時間くらいでモッズの生まれた土地に行ける…!」という興奮が勝っていました。オタク特有の興味があることに夢中になりすぎて周りが見えなくなる現象です。
長距離飛行でクタクタになりながら到着、散々ネットの情報でビビリ倒していた入国審査も学校からのレターを見せると特に問題なく入国出来ました。この時まだ同じ飛行機だった日本人が周りにたくさんいたので特に海外に来た感慨がなかったのを覚えています。
同じフライトだった人たちが散り散りになるアライバル、周りを見渡せば当たり前ですが外国人がほとんど、案内板も英語です。周りが何を話しているか、何が書いてあるか全然わかりません。
モッズのことでお花畑が広がっていた脳内にこの時改めて「英語がわからない」というひんやりした現実を感じました。アドレナリンが引いていったというか。
キャブに乗ってホームステイ先へ
来てしまったものは仕方ない…と事前に調べたブラック・キャブを捕まえて、紙に書いたホームステイ先の住所をドライバーさんに見せました。
ヒースロー空港からステイ先までは1時間半、この時「ビッグ・ベン見えるかなあ」と、キャブは町中を通って行くとなぜか思い込んでおり、車窓に広がる丘陵と青空をみて「ロンドンって意外に田舎なんだな~…」と見当違いにガッカリしたりしていました。本当バカ。
キャブに乗ってずっと気になっていた「日本では支払いは車内で行いますがイギリスでは外にでて支払うのが一般的」という事。
到着して疲れているなか「ついたら外にでて支払い!チップを渡す!お礼を言う!サンキューサンキュー…」など頭のなかでシミュレーションを繰り返しておりました。
実際多少その国で一般的な行動をしなくても怒られたりしないのに、この時は「イギリスでのルールにしっかり順応しなくては!」と謎の使命感を感じていました。
実際ホームステイ先に到着すると、「支払いあああお札わからないこれか?すごいカラフルなお札だなお礼言わなきゃ!家ってここであってる?間違ってたらどうしよう携帯ないんだけど」と脳内でテンパり、ドライバーさんも察したのかスーツケースをおろしてホストファミリーが出迎えてくれるまで一緒に玄関先で待ってくれました。
そしてチップは渡し忘れました…お礼もテンパってしっかり伝えられたか今では思い出せません…。
そのドライバーさんは私のことなど覚えていないと思いますが今でも時々「あの方にはしっかりチップを渡すべきだった!」と思い出します。
そんな中々情けない感じで1年半の英国留学スタートです。
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