南アフリカ人の友人が無事就職が決まったのでお祝いした時に「世界は広いなあ、いろんな人がいるなあ」と感じたエピソード。
おめでとうおめでとう!とひとしきりにお祝いし、就活の話といえば鉄板な「面接どんなだった?」と質問したところ…なんと彼女は手作りケーキを手土産に持っていったそうです。
日本では「ノックは何回が正解か?」「コートはどこで脱ぎ、どう持つのが正解か?」など細かいことが長らく議論されているのに「ケーキを手土産にする」とかOutside the boxどころの騒ぎではない…同席してたイギリス人も「そんな話聞いたことない」と驚愕の表情でした。既製品じゃなく手作りなのもすごい。
このポジションが何かしら製菓業界と関係があるならまだしも(関係あってもどうなんだろう、その業界に詳しくないのでわからないのですが…)彼女の応募したポジションは「パーソナルアシスタント(秘書)」
前職でお菓子作りが趣味の新入社員が、初日の挨拶回りの時に手作りのマドレーヌをくれたことはあったけど、あれは入社してからだしなあ…入社後は普通にそういうことはあるよなあ…でも面接はアリなのか…?
と、度肝を抜かれたのですが、彼女が入社し挨拶回りした時に同僚たちから「ケーキおいしかったよ、ありがとう!」と言われたそうです。胃袋掴まれとる。
イギリス人の友人は「それ面接官が受け取ったのもすごくない?イギリス人って笑顔で受け取って陰で捨てるとか全然あるからね」と驚いておりました。建前文化。
「面接に手作りケーキを持っていく」って下手したら「常識がない」と引かれる可能性もなきにしもあらず、非常にリスキーな気がするのですが今回はそれが良い方向に働いたのと「おいしい物をシェアしたいって普通じゃない?」と彼女の感覚からすればリスクはない、とのこと。
オモコロの「【禁断のライフハック】ハイリスク・ハイリターン座談会」の記事を思い出す…。
「それって心付けというか…そういう感じで渡したの?」と非常にジメジメした質問に対し「普通にめちゃくちゃおいしくできたから、喜んでもらえると思ってもう一個焼いた」と笑っており、ジメジメ日英同盟は「この心の純粋さを見抜けた面接官も才能あるよな」「インパクトだけで言ったら頭一つ抜けてるしな」と自分の常識で物事を測っちゃいけないなあ…と思うのでした。
「うちらみたいにジメジメしてないのは、南アフリカの太陽を浴びて育ったからかねえ」と言うとイギリス人が「やっぱ日照時間か、島国なのも関係しているかもしれない。うちらはもうダメだな…」と妙に納得していました。日本は日照時間長いけど湿気とかね…色々あるからね…。
ケーキを差し入れたことでそこから話が弾んで、その日のうちに採用連絡があったそうです。パーソナルアシスタントなら人柄というのも重視されるので吉と出たのかもしれません。
「うちは真似できないなあ」というと「日本人はシャイだからねえ」と言われ、シャイとかいう問題でもない気がするんですが、イギリス人友人曰く「人との距離感が違うんだろう」とのこと。
個人的には「察する文化」があると「こうすると、こう思われるかも?」という恐怖心があるからかな、と考えているのですが、どうでしょうか…。
リクルートスーツに身を包みコピペしたような就活生が同時期(※イギリスは新卒制度がない)に溢れる日本という国も彼らからしたら相当異質だろうなあ…と思いつつ、日本で生まれ育ったので「面接にケーキを持っていく」という話から世界って広いなーと改めて思うのでした。
「うちはケーキ作れないから、次もし面接あったらLinkedinで面接官の名前調べて、似顔絵でもお土産にしようかなー」というと、南アフリカ友人が「え、何それめっちゃ怖いじゃん…」とドン引きしてて「ケーキもそれなりやからな?」という、色々感覚の違いがわかる夜でした。
しかし、こういうポジティブな気持ちを行動にすぐ移せる身軽さは見習いたいなと思いました。カルチャーショック…。
ちなみに持っていったのはチーズケーキだそうです。
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