ある日、メールボックスに「あなたのCVをネットで拝見しました、Office Tempの有給トライアルに1日来ませんか?」とメッセージが届きました。「Temp」ってなんだ?と思ったら日本でいう派遣のことのようです。
トライアルで能力を見て派遣採用するかジャッジされ、また将来的に正社員登用有とのこと。
私の経歴に事務職は一切入っていないので求人案内が来た理由は謎ですが、事務職はやったことないし経験してみたい!ということで、オンラインで適性検査を送り正式にトライアルの日程が決まりました。面接などは一切なし。
イギリスで事務職を探している方でフルタイムがなかなか見つからない場合、派遣事務職で一回経験を積み現地での実績を作ってから就活に臨むのもありかも、と思った1日事務経験談。
イギリスで派遣事務、職務内容は…「一般事務」
今回事務職について色々ググったところ、トライアルのロールは「一般事務」のようです。
ジョブディスクリプションをみると
- ビジネスの管理と一般的な部門のマネジメント
- 採用活動および人事関連の管理業務
- 請求書と銀行業務の管理
- アドホックなリサーチプロジェクトと予約分析
など色々なことがズラズラと書かれております。
普段他の職種のジョブディスクリプションを読む機会があまりないのですが「こんな難しいこと隣のデスクでやってんだから会社ってのはすごい空間だよな…」と思うばかり。
そして理想の立候補は…
- 強力な管理および組織能力
- 明確で自信のあるコミュニケーションスキル
- 協力的で積極的なアプローチ
- 高い注意力
- 文書の校正能力
- Microsoftパッケージに関する幅広い知識
- 流暢な英語の文章および口頭表現能力を持つ強力な学術的背景
当日の服装を聞くと「オフィススマートで来てください」と言われたのですが、そんな立派な服持ってねンだわ…ということで、黒い七分袖の丸襟とスカートで行きました。オフィス着いたら全員Tシャツ・ジーパンでした。
「事務職 やること」「事務職 気をつけること」などインターネッツの知識を詰め込んで頭でっかちになったところで出社です。
担当者が不在なのでよくわからないまま業務
当日、レセプションで会社名と派遣のトライアルできたことを伝えると待合スペースで待つよう言われました。
日本だと派遣会社の人が手厚くサポートしてくれると思うのですが、今回の場合トライアルの日程を決めたあと特に連絡はなかったです。放任主義。
しばらく待ってるとスタッフが来てオフィスまで案内してくれたのですが「来てくれてありがとう、実は派遣採用の担当者が今日お休みで…私たち何も知らされてないんだけど、何ができるのかな?」と聞かれました。報連相文化の死滅を見たり。
ジョブディスクリプションを見せて「なるほど、じゃあまずはEメールの送信を手伝ってね」と言われ、エクセルに保存された顧客データからメアドを抜き出してメールを一通ずつ送る作業を2、3時間しました。鬼門アウトルックでヒヤヒヤ。
作業をしながら思い出す理想の候補者の中の「明確で自信のあるコミュニケーションスキル」このメール作業の中で何か質問とか会話をした方がいいのかしら?と思いつつも、特に思いつかずコツコツ仕事をしました。
オフィスは20代半ばの社員さんが多く、いろいろな話が飛び交ってリラックスした大学のような雰囲気。みんな優しいのですが、いかんせんタスクを通したコミュニケーションは思いつかず、当たり障りのない会話をしつつ仕事。
あと社員さんがほぼ全員イギリス人でした。「日本人と話すの初めて!」と言われたり人種の坩堝のロンドンで珍しいなと思いました。
ランチ休憩中に友達に電話
ランチ休憩は1時間で、キッチンはあるものの飲食スペースはなくそれぞれデスクで食べたり外へ食べに行ったり…私もオフィスを出て友達に電話しながらランチを食べました。
「ランチ時間は1時間だけどみんな結構2時間くらいとってるし、疲れてたら全然遅れてもいいよ」と言われ、結構ゆるい様子。
「評価基準がイマイチよくわからないんだけど、どういう事をすれば正解なんだろう」と聞くと友達(データアナリスト)は「スピードとか丁寧さを見てると思うけど、私も事務職の経験がないからわからない」とのこと。
また「業務を通した質問が全く思いつかない」というと「仕事を黙々としたらいいか、それとも会話に飛び込めるコミュ力を見てるのか企業によるけど、無駄口しすぎてもマイナスかも知れないし難しいね」と、聞く相手を間違えてますよ、という空気が漂いながらランチを済ませオフィスに戻りました。
イギリス企業での一般事務、必要なスキルと英語力
派遣先はイベントオーガナイズをする英系企業で、トライアルではクライアントへのメール対応・リサーチ・データ整理などをやりました。
周りを見るとマイクロソフトオフィス(エクセル・ワード・アウトルック)を主に使っており特に自社開発ソフトなどは使っている様子はなく、人によっては電話対応もしていましたが、これも電話があるデスクとないデスクがあり役割が決まっている様子。
英語力は日常会話ができるレベルであれば問題ない印象でした。メールも返信テンプレートがあるのと、クライアントからの問い合わせ内容自体シンプルなものばかりで、インターミディエイトレベルの英語力があれば大丈夫という印象。
イベントオーガナイズ企業なので、社員パーティーの写真が貼ってあったりお堅い雰囲気もなく、クライアントも絵文字がついたカジュアルな文体なメールを送ってきていたり結構ゆるい感じでした。
17時に業務終了、お礼メールとインボイスを送る
お昼から戻って結局黙々と与えられたタスクをやりました。そして17時に業務終了で帰宅。
その日のうちに「お礼+採用プロセス辞退+お給料の支払い方法について問い合わせ」をメール。後日、インボイスが送られてきたので記入返送、無事お給料をいただきました。
トライアルの日は自分の能力をアピールする日だと思うのですが、アピールのキッカケを探すのが難しいなあと思いました。これは一体どうすべきだったのか事務職の方教えてください、気になっております…。
ただ、今まで自分が経験したことがない仕事をやることで違う目線からオフィスを見るのは良い経験になりました。ルーティンワークをしながら、他の部署の動向に気を配り臨機応変にサポートしている様子をみて、チームワークや察する力がとても重要な仕事なのがわかりました。(中学生の職業体験レポート状態)
キャリアチェンジは可能といえどイギリスは学歴・キャリアパスの繋がりを重視する傾向が強く、事務職の経験ができるチャンスが今までなかったので、貴重な経験をさせてもらえて感謝です。
キャリアの取っ掛りにも「Temp(派遣)」はありかも
この会社に限定した話ですが、面接がない+業務上はコミュニケーションが取れる英語力があればOK、特殊なソフトウェアを使う必要がなかったので、基本的な事務スキルがある方は活躍できると感じました。
帰ってから「Office Temp」「Temp admin」などの検索ワードをIndeedに入れると結構仕事があるので、もしイギリスで事務職を探している方・早急に職を手にいれる必要がある方・柔軟な働き方を希望する方は活用できるのではないかと思います。それこそ派遣会社にCVを登録とかも出来るのかな?
事務職は競争率が高いと思いますが、イギリスでキャリアパスの取っ掛りを作るのに「Temp」という働き方もあるんだなーと、なんだかイギリスのドラマの世界に入り込んだような1日でした。
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