【千と千尋の神隠し】千尋は本当に元の世界に戻れたのかな?

日本にいたとき、金曜ロードショーで「千と千尋の神隠し」がTVで放送されると何十回もみているのについついながら見していました。あの不思議な世界観は大好きです。

ある金曜日、リビングで「千と千尋の神隠し」を流しつつ、弟はなにか自分のことをしていて、私は絵を描いて遊んでいました。

千尋の両親が人間の姿にもどり千尋を呼び、現実の世界へ戻るラストシーンに差し掛かったときに、ふいに弟がこれって本当に千尋の両親なんかなあ、千尋は元いた世界に似た違う世界に帰っちゃったんじゃないのと言い出しました。

彼にとってはなんとなく思った疑問を口にしたまでだったのかもしれませんが、私はこのつぶやきに結構な衝撃を受けました。

宮崎駿さんが生み出したキテレツな世界によって成長し、最後はハクを始め油屋の人々を名残惜しそうにしつつも両親の元へ戻った千尋。トンネルの先には落ち葉にまみれた車に驚きつつも、引越し先の家に走り去るシーンでおわります。

このシーンをみて「もう油屋には行けないかも知れないし、ハクとも会えないかもしれないけど、千尋が元の世界に戻って良かった」と思うのみで、彼女の両親が一緒に不思議の世界に迷い込んだ両親と一緒かどうか、車が走り去った先の世界のことなど考えたことがありませんでした。

トンネルの先の世界も天国とも地獄とも違う八百万の神様たちがいる世界で、ある意味でパラレルワールドを肯定するような存在というか…たしかにトンネルの先の世界から、またトンネルを抜けて元の世界へ繋がっているかどうかは物語のなかからは伺い知れない事です。

「千と千尋の神隠し」は様々な解釈のもと、都市伝説も多い作品ですが弟の発言を聞いて少しゾッとするものがありました。

発言者の弟自身はそこまで深く考えての発言じゃなかったのか、そのあと特にこの話題を掘り下げることもありませんでしたが映画というものは身近な人間の思わぬ視点を浮き彫りにする事もあるのだな…と、そして一緒に生まれ育った弟の事はだいたい知ってると思っていたけど、彼の思考回路は全く別の世界を観ているのだなと感じる出来事でした。

(当たり前だろ、と思われそうだけど姉は弟のことはだいたい把握しているとずっと思っていたのであった…思い込みが激しい姉をもって弟も大変ですな)

これと似たような事で、友人が「世界地図は枠の外にもっと国がたくさん広がっていると信じ込んでいた。小学校で今私達が知っている世界地図を習って、中学高校とあがるたびに外の世界が追加されて大きな世界地図になっていくと思ってた」と言っていて、世界地図をそういう見方をしたことなかったなとびっくりしたのを思い出しました。

画像はモデルなったようでなっていないと言われている台湾の九份。モデル云々はおいておいて、本当にあの不思議の国の夜みたいですね。行ってみたいなあ。