ポーランドで差別にあった話

これだけポーランド好き好き~と言っておりますが、ポーランドは生まれてはじめて悪意ある人種差別にあった国でもあります。

ポーランド人2人とイギリス人と、ウッチに住むポーランド人の友人Eちゃんとクラクフで合流しレストランへいったり買い物をしたりしていました。

ポーランドの結婚式

食べて飲んで歌って踊る!ポーランドの結婚式に参列!

一日遊び回ってEちゃんを送りにクラクフ中央駅のコーチ・ステーションへ向かっている途中、数人の男性グループがこちらに目尻を釣り上げてニヤニヤしていたらしいです。これはアジア人にむけての差別表現なので私に対してだったのだと思います。

らしいです、思います、というのは実際に私はその場面を見ていません…私は視力が悪く乱視なのにPC作業やTVを観る時以外メガネをかけていないので、あまり日常生活の細かいところが見えていないのです。

突然友人が特定の方向にむけてポーランド語で凄まじい怒声を浴びせだしたので、なにか起きたのに初めて気づきました。

多分彼らも仲間内で笑う程度の気持ちでやったのだと思いますがいきなりポーランド人女性に修羅のごとし怒鳴られパニックになったのか、ワタワタと逃げていくところはぼんやり見えたものの、何がおこったのかわからずとにかくビックリしました(最初スリ集団かと思った)周りを歩いていた通行人も何事かと足をとめていました。

友人の激情っぷりに驚いたのと、もうひとりの友人Eちゃんはもっと情熱的な性格だから触発されてグループを追いかけて殴りかからないかも気にかかり、非常にハラハラした経験でした。

一緒にいたポーランド人の一人とイギリス人は男性だったのですが「差別に対して何も行動しないのか!」とポーランド女子2人に怒られてて、彼らもおしゃべりに夢中で気づいてなかったらしい…けど女子の怒りは中々収まらずしょんぼりしてて気の毒でした…。差別が作り出す負の影響によって何も悪くない彼らにまで被害が広がるなんて…。

Eちゃんを見送ったあとミルクバーで飲みながら「多分私達が英語で話していたから外国人のグループだと思って反撃してこないと考えてやったんじゃないかな。本当にダサいし同じ国の人間として恥ずかしい!」「ヘイトの先に大虐殺がおきた歴史をどこよりも知っている国なのに!」と憤っていました。

他国へ旅行へ行くと風景や食事はもちろんですが、現地の人とのちょっとした出来事でその国のことをものすごく好きになることがあります。でも逆もしかり、現地で差別にあったりスリにあったりすると一気にその国に対して残念な気持ちになります。人間は悪意に対して敏感なので、たくさんの嬉しい経験がたった一回の悲しい経験によって台無しになります。

差別はターゲットを傷つけるだけではなく、その国自体を貶める行為です。

今回友人が複数の男性グループに勇敢に立ち向かったのは、正直驚きました。女性が力では勝つのが難しい男性、それも悪意をもった人たちに立ち向かうのは勇気がいる事です。

そして自分自身に向けられた差別行為に(友人がされたということを差し引いても)見て見ぬ振りするのではなく、行動を起こせるというのは見習わねばと思いました。

ポーランド人に差別をされたけど、それに声を上げたのもまたポーランド人です。残念な経験でしたが、これで「ポーランド最低!」とならないのは、この国の人たちと今までたくさん良い思い出があるからです。

自戒をこめて(自分自身も無意識の内にカジュアル・レイシズムを人にやっているかもしれないので)差別というものは過去や他人事ではなく常に存在しているんだと、常に問題意識を持ちたいと思いました。