英系企業で採用プロセス!不採用→再選考→また落ちた話とデザイナーのトライアルシフト

トライアルの話が続いていますが、6月から本腰を入れて始めた就活の中で思い出深い出来事がありました。

イギリスの就職活動・転職活動は予想外なことが起きるなあ…と感じた初夏の思い出。

実技試験で不正行為、一筋縄ではいかないイギリスの就活

Indeedから応募したイギリス企業、ポジションはデザイナーで「面接しましょう」とメールが来ました。

プロセスとしては…

  • 電話面接(スクリーニング)
  • 人事とマネジャーとオフィスで面接
  • アセスメント課題(実技試験、ヴィジュアル制作、家で制作)

でした。上記はデザイナー就職において一般的な流れで、企業の中にはアセスメント通過後に社長面接がある場合も。

私が落ちたのはアセスメント課題。結構自信があった&課題自体も楽しかったので、落ちたのは残念でしたが選考のお礼をメールで送りました。(※時間が経ってコンセプトシート見たら「これは独りよがりだわ笑」となったので、今は落ちたのも納得)

それから2週間ほど経って、その会社から再度コンタクトが。彼らが採用したデザイナーはアセスメントで不正(他者に作ってもらった作品を提出した)をしたらしく、いざ仕事となった時にデザインが全然できない事が判明。それによってファイナリスト2人に再度声をかけて再選考することになったそうです。

なので、最終的なプロセスは…

  • 電話面接(スクリーニング)
  • 人事とマネジャーとオフィスで面接
  • アセスメント課題(無効)
  • オフィスでトライアルシフト
  • 最終結果

このポジション、アートの学位(※)が必要だし面接では結構テクニカルなことも聞かれ厳しい質問も多かったので、アセスメントは自宅制作だったので不正できたとしても他はどうやってかいくぐったのだろう…と疑問。ですが興味のある業界だったので再選考に応募することに。

※友人が「今は卒業証書を偽造するグループがあるから学位はいくらでも偽造できる」と言っておりました…学位の意味とは…。

デザイナーのトライアルシフト

デザイナーでトライアルシフト(実際にオフィスで働いてみるお試し勤務)はあまり聞かない話で、大体アセスメントでスキルチェックするのですが、前述した候補者の事があって「本当にスキルがあるか、時間通りにタスクを終わらせられるか」を見るためにトライアルシフトを設けたようです。

「トライアルシフト デザイナー」でググっても英語・日本語ともに全然経験談は見つからず、カフェやレストランのトライアルシフトの記事やYoutubeはあるので、それを見たのですが職種が全く違うため「明るく元気よく」「自発性を見せる」というところを真似しようとメモメモ。

トライアルシフトは「3時間以内に与えられたタスクを実際にこなす」という内容。

実務(課題)は、デザイン基礎ができればそこまで難しいことではないけど工程が多い作業なので、時間に気をつけつつ作業開始。わからない部分や必要なことはマネジャーに聞きつつ、課題自体は滞りなく提出できました。

自分のPCじゃないのでショートカット設定が違っていたり、ペンタブではなくマウスで作業しなければいけなかったのがドキドキしました。

作業中は他の社員がブラウニーをくれたり、和気藹々してて楽しかったです。甘いもの食べれないけど断るのもなあ、と思って食べたらおいしかった!胸焼けも起こさず久々に甘いものを楽しめました。

その後マネジャーと面談して「君の技術力は本当に素晴らしい、それを目の前で見れてよかった!」「実際に一緒に働く僕としては君がファーストチョイスだから、CEOにもそういうふうに伝える」「CEO次第なのが歯痒い!」と言われ、いつから働けるかなどの確認を色々された後、オフィスを後にしました。

余談ですが…前回の採用失敗によりマネジャーから採用決定権がCEOになったようで、採用活動もお金がかかるし一人の不正によって企業も他の応募者も大打撃を受ける結果に。

自分も過去に採用活動をデザイン面で手伝ったことあるのですが、採用された人が不祥事を起こすと採用した人にも飛び火することがあるんですよね…人事とは難しい仕事です。

ただ、今のイギリスは不景気で1つのポジションに200人以上が応募することもザラ。
※ 求人倍率が高いのは国外からの応募も多いのも理由の一つ。

Entry-Levelやインターンは特に熾烈な競争率。日本の新卒採用制度に是非はあれど、経験を積む取っ掛りを掴むのが難しい海外を見ると一長一短だなと思います。

その不正したデザイナーも、もしかしたら経験を積む機会がなくて焦ったのかなあ…どんな理由があっても不正は絶対にダメですが、色々後味が悪い出来事でした。モヤモヤ。
※ 今回のポジションはシニア寄りミドルだったので即クビになった模様。

そして技術職を生業にする者が技術を偽るのは、自分自身や業界を貶める行為でもあるので自分は絶対にしないでおこう…と改めて思いました。

デザイナーのトライアルシフト、不採用の原因は…

翌日、マネジャーから電話があって残念ながら不採用でした。ぎゃーん!

そしてその原因は、制作したものの中にスペリングミスがあって、それを見たCEOが「技術力はいいけど、英語力に不安がある」と言い出しマネジャーも色々言ってくれたそうですが、結局もう一人のイギリス人が選ばれたそうです。

これは本当に悔しかったです、完全に自分のミスですしAIでスペルチェックもしたのですが、最後の最後に「これ大文字にした方がいいな…」とチェンジした時にミステイクをおかしたのだと思います。チェンジした後にもう一度スペルチェックをかけるべきでした…。

結果は残念でしたが「フリーランスで仕事をお願いすることはできる?」「もし今後の就活でリファレンスが必要であれば喜んでサポートする」など言われ、最後の最後まで気遣っていただきました。ありがたや。

会社としても一度採用に失敗している分、かなり慎重でCEOから「採用の失敗はもう2度とできない」と言われたそうです。

そんな中、スペリングミスをする人を雇うのはリスクがある、と考えるのは当然のことです。作業中は集中してるにしても、やっぱり普段の制作とは全く違うプレッシャーがどこかにあったので、そういう時こそスペリングや細かい部分にもっともっと気を配るべきでした、反省。

よく「英語力を技術力でカバーして採用されました!」という話がありますが「技術力を英語力が足引っ張って落ちました!」という真逆の話もあるんだなあ…スペルリングチェックも技術のうちかな…と考えながら、この企業への就活は幕を閉じました。

残念だったのが面接やトライアルの中でマネジャーと割と相性が良いなと感じていたので、相性の合う上司と仕事すると成長できただろうなあ、とそれも残念でした。

そしてマネジャーにも「これ技術力を見るトライアルだからスペリングで…というのは僕も納得がいってない、でも決定権がないんだ…前変な人雇っちゃったし…」と嘆いており、最初の不正デザイナー採用がここまで尾を引くとは…。

トライアルは有給ではないのですが、その企業が作っている製品(高価なものなので3時間のトライアルでむしろ貰って良いのかと恐縮)をいただきました。

落ち込んだ時は人と話してスッキリしよう!

というわけで不採用の電話を受けた夜。

早速友人たちに「聞いて聞いて!えーん、うちかわいそう〜」とドラマクイーン全開で泣きついたのですが「スペリングミスは擁護できない、ここ一番って時にやらかすミスじゃない。基礎の基礎」と言われ、そっすよね…すみません…という感じでした。正論オブ正論、彼も技術職だから「そんなことで落ちるなよ!」と本気で怒られました。半泣き。

また違う友人には「CEOの決定権が強い会社は結局苦労することが多い」と言われ、「CEO」という存在が近い企業で働いたことがないので「?」という感じですが、CEOの決定権が強い=現場の声が反映されにくい、可能性があるとのこと。企業にもよると思うのですが、経験した人にとっては本当にイライラすることだそうです…。
※今回は事前に採用活動を失敗したからCEOに決定権が移ったという特殊な状況なので、これが当てはまるかは謎です。

「企業に夢見てる時間が一番楽しいんだから、入社できなくてむしろ良かったじゃん」というポジティブすぎやしません?という意見を言われ爆笑。「一回ケチがついた企業は、入社できてもうまくいってなかったかもよ」と日本の友人に言われ、「ケチがつく」という考え方は日本人的でおもしろいなと思いました。

あとは教職についているイギリス人に「それは普通に差別だよ」と言われ色々説明されましたが、「ソフトスキルの欠落を差別と判断するのはちょっと過敏すぎると思うけど」と言いつつ…いろんな見方がありますね。

そんなわけで、正論でボコられたり、客観的な意見を聞いたり、その他友人たちの仕事の話を聞いてるうちに「不正の影響で何だかんだ1ヶ月近く選考してたから「何がなんでもこの仕事がしたい!」と思ってたけど、縁がないものは仕方ない」と思え、また就職活動をする活力になりました。

悩んだ時は視野が狭くなるので、人と話すのが一番ですな。

この経験から得たことは…

  • 複数人のネイティブとの面接を経験し、自分の英語力に自信がついた。面接対策をずっとしていたのでスピーキング力とリスニング力が伸びた。
  • デザイナーでトライアルという珍しい経験ができた。
  • アセスメントで不正が行われるという、今まで想像しなかった出来事を知れた。
  • スペリングチェックをしっかりするという教訓(泣)

あと家人にも友人たちにも「Things happen for a reason, this experience is necessary to lead to a better future.”(物事が起こるのには必ず理由がある、この経験はより良い未来に向けて必要なもの)」と言われ、イギリス人のマインドに救われました。ありがたや。

そしてスペリングミスよりも…元を辿れば最初のアセスメントでその不正作品よりも良い作品を作っていればそこで採用だったので、デザインスキルやコンセプト理解ももっと精進したいと思います。

今回のことは自分の驕りを見直す良い機会にもなりました。日々勉強です。

イギリスで就活・転職 失敗談

その後も就活を続けていたのですが、周りの人からも「就活どう?」と聞かれて「あんまりうまくいってない」というと自分の就活失敗談を色々話してくれ、印象に残ったエピソードを3つ。

Requirementに書いていないスキルが必要だった

エンジニアの友人、よく転職しているので(エンジニアスキルは最強だな‥と毎回こっそり思う)転職もスイスイこなしてると思っていたのですが、求人内容との噛み合わず最終面接で落ちたことがあるそうです。

それまでに面接が3回+実技試験を経ていよいよ社長面接の時に「確認ですがドイツ語は話せるんですよね?」と聞かれ「いえ、話せないですけど…」と答え、同席したマネジャーも「このポジションにドイツ語はRequirementではないです」とフォローしたものの「ドイツ語話せる人を募集したはずです」と水掛け論になり、結局グダグダなまま面接が終了したそうです。

そんなことってある!?とビックリしたのですが「でも社長と社員のコミュニケーションがうまくいってない企業に入社しなくてよかった」とのこと。このエンジニアが前述した「企業に夢見てる時間が一番楽しい」発言をした方です。ポジティブすぎて逆に闇を感じる。

ビザの種類で落ちた

スクリーニングをクリアし、対面での面接で「ビザの種類は?」と聞かれYMSビザなのを伝えると「じゃあうちでは採用できません」と言われ、「電話面接でビザのお話はしたし、CVにも記載しました」と言ったそうですが聞き入れてもらえず、帰ってメールでフォローアップ(技術面をアピール)したけど結局落ちたそうです。

これもそんなことってある!?って感じですが、このビザの種類で落ちた、という話は結構ブログでも見かけることがあって、書類に書いてあるのになんでわざわざ面接に呼んだんだろう…。

あとYMSビザはイギリス企業にとっては馴染みがないのか「それはどんなビザ?」と聞かれることもあるそうです。ビザ複雑すぎる!

バリスタのトライアルに行ったのにその後音信不通

自分がトライアルを経験した後だからこそ「これはひどい」と改めて思ったのですが、バリスタの友人が世界的に有名なホテル併設カフェにリファラル採用でトライアルを受けることに。

トライアルは問題なく終わり「結果はまたメールしますね」と言われたのに連絡が来ず、2週間経って「選考結果を教えてください」とメールしたのに返事がなかったそうです。

トライアルも行くまでに緊張しますし、慣れない環境で働きぶりを見せるのも疲れる、そして時間や交通費を割いているのに結果連絡すらしないとは不誠実な企業だねー…と、他人事ながらションボリ。

あとリファラル採用でもこういうことあるんだな、とちょっと意外でした。

おもしろい、辛い、いろいろ起こる海外就職。

この記事を書いてる現在、違う企業からオファーをもらえ就職活動自体は終わっているのですが、今回は就活が4ヶ月に長引き今までで一番しんどい就活となりました。ホリデーシーズンの夏を挟んだのも痛かった。

4ヶ月間、ヒャーヒャー言いながら就活していましたが、周りの悲喜交交就活の思い出を聞く機会にもなっておもしろかったです。

また受かった企業はもちろん、お祈りされた企業での就職プロセスも追って書いて行けたらと思います!