紆余曲折ありましたが、なんとかダンケルクに到着しました。
夕方16時頃、ダイナモ作戦の博物館はもうすぐ閉館するので翌日に行くことにし、海辺と主人公がナチスに追われて走り抜けたシーンの撮影地へ向かいます。
街自体はこじんまりしていて非常にのどか、海風が気持ち良くこの場所でたくさんの人が亡くなったとは想像し難いですが、街中にはこのようにダイナモ作戦に関するパネルが結構たくさんありました。
この街の散策には折りたたみ自転車が大活躍しました。
ホテルの位置から浜辺までは歩くと30分かかりますが、自転車だと10分程度。サイクリスト用の道路もあり安心して自転車に乗ることが出来ました。
ダイナモ作戦の博物館前です。
フランスはダイナモ作戦のあとに降伏しナチス・ドイツの支配下になりました。
ダイナモ作戦の話になるとイギリス人は少し得意げですが、フランス人の視点からみたらまた違うんだろうなあ…とこのあたりの歴史の話は複雑です。視点が変われば全く違う歴史になるというか…。
私はアブロ・ランカスターという戦闘機が好きですが、ランカスターによって破壊されたドレスデンの街の写真を見たときは、空襲で焼け野が原になった東京や311東日本大震災で大きな被害を受けた街の写真と重なって非常に気が重くなりました。
自転車置き場に自転車をくくりつけてから浜辺におります。 余談ですが、ロンドンでは自転車盗難が非常に多いためかなり心配して置いていきましたが無事でした。治安が良い!
映画のなかでみたダンケルクの風景は非常に冷たく不気味でしたが、今現在の浜辺は犬をつれた人や家族、カップル、一人でのんびりした時間を楽しんだり多くの人々で賑わっていました。
浜辺には多くの個人経営のカフェやレストランが立ち並び、パリとはまた違うカントリーサイドならではの空気があります。
映画を見たときも思いましたがとにかく浜辺が広い!そしてロックサンドが多いイギリスでは中々ないサラサラの砂浜です、羨ましい…。
こんな隠れることが難しい場所で、来るかわからない助けを待ちつつ空爆が続くとは、映画の中で一人の英国兵が海へ入水していくのを誰も止めず何も言わなかったのも納得でした。
このときは9月でしたがかなり暑く(イギリスに住んでいると「もしかしたら寒くなるかもしれない」という心配がつきまとい、少し厚手の服装で行ったためかなり汗をかく結果に)海に入って遊んでいる人もちらほらいました。真夏であればホリデー先としてもよさそうですね。
こんなのどかな風景が映画の世界ではあれだけ薄暗く見えるとは、彩度が人に与える影響とその不安をかきたてる画を作ったクリエイターはすごいです。
主人公のトミーがナチス・ドイツに追われ浜辺へ向けてはい走り抜けたシーンが撮影されたRue Belle Radeへ向かいます。
博物館前を通過し橋を渡っての海辺への入り口から、ロケ地までは歩いて10分ほどでした。
浜辺では足をとられてあるきにくいのでコンクリート舗装された道へ戻り道なりに歩いていると自転車置き場に撮影中の様子がパネル貼りされていました。
桟橋などは撮影後取り壊されたのか残っていませんでしたが、画作りためにかなり大掛かりな作業があったことを見ることが出来ます。
撮影中は街の人がロケ地に様子を見守っているようなショットもあって微笑ましかったです。
車が停まっているのと、撮影時はサンルームのような舞台美術が施されていたので印象がかなり違いますが、この通りはトミーが走り抜けたストリートです。
同僚のDL購入した映画をスマホで再生しながら照らし合わせ、この普段なら気にもとめないストリートが映画の背景の一部になるとは!と感激でした。
浜辺のほうに大きくこのストリートの撮影風景がありました。土嚢の奥の風景が、そのまま一緒です。
映画の中の風景はどこに敵が潜んでいるかもわからない不気味さがある風景でしたが、実際はレンガ造りやカラフルなお家が立ち並ぶおしゃれなストリートでした。
たぶん、ロケ地巡礼に来る人は多いと思うのですが東洋人はあまりいないのかこのあたりをウロウロしていると、ローカルの人々の物珍しそうな視線を若干感じました。
この4本のポールもフラッグなしで映画に映っておりました。
このダンケルクのロケ地巡礼は長い間話しながらも中々実行に移せなかったのですが、実際にダンケルクの地を踏むと感慨深くロンドンからコーチとフェリーを乗り継いで来た甲斐がありました。
英国人にダイナモ作戦に日本人が興味を持つとは、と驚かれつつも海外に住んでいると母国を恋しく思うことも多々あり、今現在は飛行機に飛び乗ればすぐ帰れますが、自分の努力の範疇を超えた理由で帰国が出来ない環境は想像を絶する辛さがあると思います。
そのうえ死と隣り合わせで、留学や移住などのポジティブな志で異国にいるわけではない、となると自分の乏しい想像力をフルで駆使しても当時の人々の気持ちというのは計り知れないです…。
私が「ダンケルク」を好きな理由の一つは、キャラクターのバッググラウンドがあまり描写されていないことです。
「インターステラー」の印象が強かったのと戦争映画では登場人物たちの心情や葛藤が全面的に描かれているものが多い中、ここまで人物の情報を削ぎ落とすのかと驚きましたがそれによって生々しさを感じ登場人物の多くに感情移入が出来ました。
また少しですがパーソナルなバッググラウンドの描写があったミスター・ドーソン(と、ピーターとジョージ)がなぜ強い意志を持ってダンケルクまで英国兵を救出に行ったかに非常に人間味を感じました。
普段映画をみていると登場人物のバッググラウンドや、そこから生まれるセリフや行動に共感を見出しますが、トミーを始め登場人物たちははイギリスのどこ出身なのか、どれほどダンケルクにいるのか、家族構成やパートナーの有無、ダンケルクにくる以前のことなど描かれておりません。
またフランス兵のギブソンの存在は、ナチスに侵略される祖国フランスを前に葛藤や罪悪感もあったとは思えますがそれを超える人間がもつ「生」への執着を感じました。
トミーがミスター・ドーソンの船に救出されたときの第一声「TAKE ME HOME」は国籍や世代を超えた普遍的な「望郷の思い」を感じられ、そこに深い感銘を受けたのではと思います。
浜辺とロケ地を満喫した夕方、夕ご飯をたべにホテル近くまで戻ります!
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