その時、阪急神戸線はドアを開けたのか 開けなかったのか

十三(じゅうそう)と呼ばれる駅が大阪にあります。関西の難読地名の一つで阪急電車が通っています。

当時、神戸で働いていたのでその日も早朝の京都線各駅電車に乗り込みました。

普段は十三駅で乗り換えなのですが、十三駅付近で火災が発生しているから神戸線へは梅田駅で乗り換えるよう車内放送がかかりました。

十三駅に近づくにつれどんどん窓の外が煙っぽくなり、プラットフォームに滑り込んだ時に神戸線の屋根が燃えているように見えました。よくよくみると屋根ではなく、ホームの向こう側で柱のような炎があがっています。

突然現れた非日常な風景に「大丈夫やろか」「大変やわ」と乗客同士の小さな会話は聞こえたものの騒ぐ人はおらず、ただただみんな窓の外を不安そうにのぞき込んでいました。

阪急十三駅は京都線・宝塚線・神戸線と3つの線が通るのですが、神戸線側にあるションベン横丁(飲み屋が立ち並ぶストリート)が大被害を受けた火災でした。神戸線のすぐ裏手での火事だったため、京都線に乗っていたときよりも炎も近く電車の外は修羅場になっていました。

神戸線プラットフォームに入るときに「十三、十三です」という、いつもの車内案内と共に火災の案内がされ停車しました。京都線から見えた炎はプラットフォームの壁で見えませんでしたが白い煙が立ち込め消火活動がされている様子でした。

静かな車内に「ドアを開けますが降りないでください」という案内がかかり、「え!?開けるの!?なんで!?」という思うと同時に扉が開きました。

焦げ臭いにおいと炎の熱を若干感じ煙が入り込み、プラットフォームには消火活動をしている方々と共に阪急電鉄の職員さん達や学生班の方々がいて「降りないでください!降りないでください!」と叫んでいました。

車内にいた私立男子学生たちが「やばすぎ!」と興奮した様子でスマホをかまえており、それにつられて大人たちもこそこそとスマホを取り出して写真を撮っているようでした。

ドアが閉まったあと、何事もないように西宮北口駅へ電車は走り出しました。プラットフォームを過ぎるときに轟轟と炎に包まれた風景が見え、壁で隠れていた現実を目の当たりにしたというか、先ほどまで非現実な状況に少し興奮が漂っていた車内がまた静かになりました。

スマホでググるとこの火災がトップニュースになっており、掲載された空撮っぽい写真をみると阪急はよく電車走らせたなと思うほど激しい火災なのがわかりました。

会社にはちゃんと時間通りにつきましたが、ニュースをみた同僚から「十三駅、大丈夫だった?」と聞かれて「なんでか阪急が電車のドアをあけて驚いたよ」という話をすると「そんな状況でドアを開けるはずない、停車したとしてもそれはダイヤ調節で、乗降できないならドアを開ける必要性がない」と何人かから言われ、そこでドアの開閉について少し議論になりました。

なかには鉄道に詳しい人もいたのでだんだん「寝起きの妄想だったのだろうか…」と不安になりだし、「阪急に聞いてみたら?」という意見もでましたが、ただでさえ火災で忙しい時、そうじゃなくてもそんな問い合わせ大迷惑だろう、ということで真相は神のみぞ知るという事になりました。

…と、いうのをこの記事を読んで思い出しました。火事で大部分が焼けたものの時間をかけて復旧し、もともといたお店に加え新しいお店もオープンしているようです。

十三は阪急電車で何回も通っているのに、実際に降りたことはそんなにありません。でも記事を読んで一時帰国したら十三の飲み屋さんハシゴしてみたいな~と思いググると十三特化のブログを発見。予習します。

 

しかし、あの日阪急電車はたしかにドアを開けたと思うしその時の事も覚えているのですが、安全面を考えると普通ドアは開けない白昼夢だったのでしょうか…いまだに気になっております。

会社に神戸線というか阪急電鉄ユーザーがいなかったので他の人に確かめることもできず、開いたと思うんだけどなあ…。